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![]() ここまで何度も「判定」という言葉が出てきたと思いますが、この《BR-mail-game》ではどんな行動も「それが成功したか失敗したか」をゲームマスターが決定することになります。もちろん適当に思いつきで判定するのではありません。その行動が成功するための達成値を決めておき、生徒の能力がそれを上回っていれば「成功」、下回っていれば「失敗」とするのです。 しかしこれだけでは生徒の能力の違いや、置かれている状況の違いなどが反映されませんので、能力値にさまざまな修正がかけられていくことになります。 たとえば、難易度による修正。行おうとしている行動が難しければ難しいほど、成功する確率は低いことになりますよね? 走って逃げながら石を投げつけるのは、狙いを定めて投げるよりも当たりにくいはず。相手を生け捕りにするため大怪我をさせないよう攻撃するのも難しいはず。ゲームマスターはそういった状況などを数値に置き変えて、成功の確率を調整します。 それから生徒固有の能力による修正。たとえば野球部であればより遠くにものを投げられるでしょうし、演劇部であれば感情こもった説得で相手が感化されやすくなるかもしれません。行う行動にどれだけ慣れているかといったことが、ここでは加味されるわけです。 もちろん修正はあくまで修正であり、もともとの能力が一番大切であることには変わりはありません。それでは、行動の判定がどのように行われるかを具体的に説明しましょう。 →戦闘の判定 ◎通常の攻防―接近戦 接近戦は「攻撃順の決定→当たり判定→ダメージ計算」で処理されます。 1.攻撃順の決定 戦闘を行う両者が互いに警戒しているような場合は、敏捷度が高い方の先制攻撃となります。一方が眠っていたりして気づいていない場合、闘う意思がない場合には、発見者側あるいは闘う意思のある側が先制です。 逃亡などがない行われない場合には、二回目の攻防からは攻撃順の決定は行わずに、どちらかが倒れるまで交互に攻撃を繰り返します。 2.当たり判定 攻撃が相手に当たるかどうかの判定です。これは「攻撃側の命中値(器用度+敏捷度)+PB」と「防御側の回避値(精神力+敏捷度)+PB」を比較し、攻撃側が勝れば攻撃は命中し、防御側が勝れば攻撃をかわしたことになります。 たとえば逃げながら攻撃するとか、急所を外して攻撃し説得したいなどという場合には命中率にマイナス修正がかけられます。 3.ダメージ計算 攻撃が当たった場合はダメージの計算が行われます。ダメージは「攻撃側の攻撃力(筋力+武器の攻撃力)+PB」から「防御側の防御力(耐久力+防具の防御力)+PB」を引いたものです。これを攻撃を受けた側の体力からマイナスします。 ※各計算に用いられるPBとはパンドラボックスのことです。詳しくは不確定要素についてをご覧ください。 ◎通常の攻防―射撃戦 双方の武器が射撃武器や遠投武器で、撃ち合いもしくは物の投げ合いを行う場合には、接近戦と同じように処理されます。 どちらか一方の武器が射撃武器や遠投武器だった場合は、その武器を持っている人から攻撃となり、さらに攻撃が当たった場合には防御側は反撃することができません。間合いを詰めるだけです。二回攻撃を受けてからやっと反撃できる体制となります。これは間合いの概念からです。 その代わり、接近されると射撃武器や遠投武器は本来の使い方ができなくなり、鈍器として使用されます。《アクション》で武器の持ち替えを指示している場合には、接近戦用の武器に持ち替えますが(武器を持っていない場合には無効です)その一回分は攻撃できません。 ◎逃げる人への攻撃 逃げる人へ攻撃する場合には、一番はじめに逃亡が成功するかの判定が行われます。互いの敏捷度×2+PBを比べて攻撃側より+5以上であれば、素早く逃げたことになり攻撃はできません。 それ以下の場合、 1)攻撃側の武器が接近戦用の場合は、一回目の攻撃時は相手は反撃できません。 2)攻撃側の武器が射撃武器や遠投武器の場合は、毎回逃亡判定を行いますが相手からの反撃は一切ありません。 →移動の判定 移動の判定というのは移動が成功するかどうかではなく、移動の結果何が起こるかを判定します。ですから、マップを1マス動くたびに判定が行われます。 ひとつは「なにかを発見できるかどうか」。たとえば誰かの死体や他の生徒などを見つけられるかですね。これは生徒の「判断力(知力+精神力)」が達成値を上回っているかどうかで判定します。達成値は見つけやすいものほど低く、見つけにくいものほど高くなります。つまり、死体のような見つけやすいものは、平均的な能力を持つ生徒であればほぼ間違いなく発見できますが、息をひそめて隠れている生徒はよほど注意深い人間でないと見つけられないというわけです。 もうひとつは「ハプニングが起こるかどうか」。たとえば、誰かのしかけた罠が発動したり、がけ崩れが起こったり、です。これは生徒の幸運+PBで判定します。達成値を上回っていれば、仮に罠があったとしても運良く通り抜けられたということになります。もしも達成値を下回った場合にはハプニング発生です。その場合、起こった出来事に対して、罠ならば罠に関する判定、天災ならパンドラボックスによる判定、などを改めて行います。 →罠に関する判定 ◎罠をしかける場合 罠をしかける場合にはまず《アクション》で「ロープとナイフを使って罠をつくりたい」などと意思表示する必要があります。その場合、必ずしもそれをどう使うかをプレイヤーが知っている必要はありません。知識と器用度があり、道具が揃っていれば、生徒が勝手に罠をつくってくれます(笑)。 たとえば「ワイヤを使って罠をつくります」と書いたとします。その場合ゲームマスターがどのように判定するかというと……まずワイヤを使った罠がどの程度の難易度があるかを見ます。「知力10・器用度12」だったとすると、生徒の能力値がそれ以上であれば、「作り方も知っているし巧くつくることもできた」となるわけです。もしも知力が足りなければ、「でもどうすれば罠がつくれるんだろう???」と生徒は途方にくれますし、器用度が足りなければ「あれ、うまくできないや」ということになります。 ――と、ここまでは一般的に考えつくような罠、です。正確にはゲームマスターの考えつく範囲の罠、つまりマニュアルにある罠ということですので、あまり突飛な指定では生徒は罠をつくることができません。ですから「水とパンで罠をつくります」と書かれてあっても、「これでどうすればいいんだろう?」と生徒は困惑します(ゲームマスターも困惑します)。もしも独創性のある罠をつくりたい場合には、何をどういう風に使うのかを具体的に書いてもらうことになります。 ◎罠にかかった場合 罠にひっかかるかどうかの判定は、移動の判定で説明した通りです。ここではそのダメージの判定について説明します。 罠にはそれぞれ「殺傷力」が定められています。たとえば浅い落とし穴には軽い怪我を負わせるだけの威力しかありませんが、ロープにひっかかるとボウガンが発射されるような罠であれば即死の可能性もありますよね。そういった罠の威力を数字にしたものが殺傷力です。 罠にかかった場合はいわば不意打ちですから、防御姿勢をとることはできないと見なし、ひっかかった生徒は「耐久力-殺傷力-PB」分のダメージを受けます。ここで不確定要素が使用されるのは、罠が巧く効力を発揮するかの要素を加味しているためです。罠の殺傷力が低くダメージがない場合には、罠は発動したが不完全だったということになります。 →探索の判定 ◎「何かないかな?」という探索 生徒は特に何を探そうという目的もなく、何でも良いから役に立ちそうなものをと探索を行います。ですから、発見されるものは全くのランダムです。「判断力(知力+精神力)+PB」で発見できたかできなかったかの成功判定を行い、成功の場合はパンドラボックスで何を発見したかを決定します。 また、発見したものが何という名前でどんな使い方ができるか生徒が知っているかを、知力が達成値を上回っているかどうかで判定します。たとえば包丁のような誰でも知っているものは達成値が低く誰でも判定に成功するでしょうから、《リアクション》でも「包丁を発見した。切れ味も良さそうで、いい武器になりそうだ」などと返されます。逆にラベルのない薬などは見た目だけではわかりにくいものですから、よっぽど知力がなければ判定には成功しないでしょう。失敗した場合には「白い薬のようなものを発見した」しか返されなかったりします。 ◎「○○を探したい」という検索 灯油を探したい、長い棒かその代わりになるものを探したい、というときには、生徒はそれがありそうな場所を探すことになります。よって判定は「判断力(知力+精神力)+幸運」で行われます。またこの場合は、探す場所によって修正がかけられます。山で棒を探すより、倉庫で棒を探す方が高確率で発見できるはずだからです。 さらに、必ずそこにあるものを探している場合は、判定なしに道具を獲得できる場合もあります。たとえば「台所でコップを探す」などの指定は、前に誰かが持ち去ったりしていなければそこにあるはずのものですので、一回の探索でコップを手に入れられるでしょう。 →その他の行動の判定 その他の行動については、ゲームマスターの判断により、適切と思われる能力を使った判定が行われます。 →不確定要素について TRPGではランダム要素を決めるときにサイコロを振りますが、《BR-mail-game》において一回一回サイコロを振っていたのでは処理が大変です。そこでパンドラボックスというシステム(というと大袈裟ですが)を使用します。パンドラボックス=パンドラの箱=Pandora's Box=PBということで、PBは計算式にも出てきましたね。PBは不確定要素を決定するために使用されています。 具体的にどういうものかといいますと。0〜7までの数字をランダムに並べたシートをつくり、何かを判定するたびに左から順にその数字を使っていくことで、サイコロを振ったのと同じ効果を得ています。パンドラボックスはターンごとに選び直すことが可能です。 ※A〜Zまでシートを選べるのは、プレイヤーがシートを選ぶことでランダム性をより増すためです。 さて。サイコロといったのに0と7があるじゃないか、という問題についてですが、これはTRPGでいうところの自動的失敗と自動的成功を表しています。ドラクエでいうと痛恨の一撃と会心の一撃ですね。 ……えーとつまり、隠れていたはずなのについくしゃみをしてしまったなんていう「致命的なうっかりミス」や、普通に攻撃したつもりだったのに当たり所が良かったみたいなんていう「奇跡的な成功」のことです。もちろんそれらが起こる確率はとても低いものとなっていますが、あり得ないことではないということで。 |
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